病気のはなし
食中毒
松山 純子
1
,
本田 武司
1
Junko MATUYAMA
1
1大阪大学微生物病研究所細菌感染分野
pp.884-891
発行日 1996年10月1日
Published Date 1996/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543902887
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新しい知見
食中毒は,現代社会において衛生的な生活を送っているにもかかわらず,わが国ではいまだに発生件数は減少していない.また,原因の大部分を占める細菌性食中毒の発生状況は,近年食生活の肉食化に伴いサルモネラ属菌による発生件数が増加しているという新しい傾向がみられるようになってきた.さらに今夏は,岡山県をはじめ日本各地で腸管出血性大腸菌(特にO157)による大きな集団発生があった,この細菌性食中毒を予防するため,また治療法の開発のために,現在原因菌の作用機序や産生する毒素の構造や機能の解析が進められている.臨床検査の場においてもDNAプローブ法やPCR法などのDNA診断技術の開発により迅速に原因菌を検出することが実用化されるようになってきている.
ここでは,主な細菌性食中毒の原因となる菌について紹介する.紹介できなかった菌についての詳細は,他書1)を参照されたい.
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