「学術振興会法案」の意味するもの

　去る5月の，参議院予算委員会で日本の学界とアメリカの軍事費とが密接に結びついている例が明らかにされました。文部省が，野党側議員の要求で，アメリカ陸軍極東研究開発局からリストを受け，それを公開し，1959年以降，約3億8700万円の研究費が日本の学界に流されていることが判明したわけです。とくに，生物医学関係の研究組織は，このうちの8割以上の資金を受けていますが，このように経理のはっきりしたもののほか，大量な投資がアメリカからなされていることは十分に予想されます。アメリカの軍事費であるからただちに，戦争の手段につかわれる研究成果を要求するものということはできないというのが政府側の答弁ですが，佐藤首相も閣議で，「けじめをつけるべき」と発言，その後のなりゆきが注目されていました。