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健保特例法案と国会のこと
戒能 通厚
1
1東京大学社会科学研究所
pp.57
発行日 1967年9月10日
Published Date 1967/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662204024
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第55特別国会から臨時国会と,フォローするのが困難なほどさまざまな法案が乱れとび,国会は混乱をきわめているといわれています。昨年末,選挙の公正と政治的道義の確立を目指すものとしての「政治資金規正法」から出発した特別国会では,防衛二法(防衛庁の増員を主としたもの)在外財産補償法,環境衛生金融公庫法,また他方野党側の唯一といってよい成果である参議院先議の一酸化炭素中毒措置法(いわゆるCO法)等がそれぞれ成立,ところが「政治資金規正法」は,後退に後退をかさね,結局廃案となっています。このなかにあって,健康保険法の改悪は特別国会では審議未了とすることにされ,そのために,いわゆる「健保国会」といわれる臨時国会がひきつづき開催され,8月10日衆議院本会議で,会期を同18日まで延長することを決議,そして連日の審議が続けられました。たまたま参議院の社会労働委員会の委員長が社会党所属の山本氏であるということから,国会法56条3項の,「各議院は,委員会の審査中の案件について,必要があるときは中間報告を求めることができるという,いわゆる「中間報告」手段で,委員会での審議は打切られ,18日の参議院本会議で,ついに,健康保険特例法案は成立可決ということになりました。法案の内容は4,5月号本欄に紹介したものと大差なく,2年間の時限立法とされている程度が,衆議院での修正の大きなものといえましょう。
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