霞ガ関だより
医療基本法案
S.O
pp.114-115
発行日 1972年9月1日
Published Date 1972/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541204775
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法案作成の背景
医療基本法案は,第68国会に提出されたが,審議未了のまま廃案となった.基本法案が閣議決定されたのが5月23日,国会に提出されたのが5月26日,そして廃案となったのが6月16日であった.国会においては衆議院社会労働委員会に付託されただけで審議は全然行なわれず夏蝉のごとく短命にはかなく消えていったわけであるが,こうした法案が提出されたこと自体今後の医療行政の方向に,大きな影響を及ぼすものと考えられるので,医療基本法案が国会に提案されることになった経緯,その内容および意義について若干霞ガ関より報告したい.
昨年7月1日,保険医総辞退という事態が発生した.医療保険制度の改革をめぐって,日本医師会が保険診療をいっさい行なわない旨を決定し,これに基づいて一部地区を除き全国的規模で保険医総辞退が行なわれたわけである.これは医療自体を拒むものではなく,保険診療だけを行なわないとするものであるが,現在の医療はほとんどといっていいほど各種保険で支えられているので,その影響はきわめて大きいものであった.この保険医総辞退問題を解決すべく斎藤厚生大臣は,武見日本医師会会長と数度にわたって会談を行なったが,その結果7月28日に至って,両者の間に了解が成立し,保険医総辞退は収拾された.
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