特集 保健婦現代史―そのあゆみとゆくて
第Ⅰ部 公衆衛生行政の流れと保健婦
保健婦に関する行政の流れ
金子 光
1
1東京大学保健学科
pp.24-28
発行日 1967年1月10日
Published Date 1967/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662203817
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保健婦規則が行政のはじまり
わが国において保健婦に関する行政が始まったのは,保健婦規則ができてからであるから昭和16年のことである。それ以前の昭和12年に保健所法の制定があり,保健所の職員として保健婦を設置することが定められたし,昭和13年の国民健康保険法の制定に伴い,被保険者の療養担当者としての保健婦が町村,主として村に設置されることになった。これなど,実はどちらかといえば,社会保険制度の主旨をよく理解しないで国保組合の市町村設置がなかなか手間どっていたころ,組合を設置した町村には保健婦を優先的において,被保険者を含めた住民の健康管理や保険指導を行なうということで,国保組合の開設を奨励する役割をつとめ,その発展におおいに寄与していることにはなるが,保健婦のための行政としては,保健婦規則が制定されるまでは,格別のものは何にも行なわれていなかった。
保健婦規則制定の年は,あたかも大東亜戦争の開始された年で,保健婦は正式な出発早々戦争にまきこまれて,はじめから戦時体制をとることになってしまったのである。翌々年には,戦争に対する医療関係者のあり方に関し特に定められた国民医療法中に,医師等とならびに医療関係者として位置づけられ,有時に備えられていた。
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