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保健文化賞を受けた辺地の町—岩手県岩手郡葛巻町
pp.57
発行日 1966年11月10日
Published Date 1966/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662203788
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岩手県葛巻町は,盛岡市から東北へ70キロ。バスで約3時間もかかる不便なところ。人口は16,000だが町の中心部は4,000人たらず,あとは45部落にわかれた,だだっ広い山間の町だ。総面積の7割近くが600メートルの高冷地で,1年のうち霜や雪が降らないのはわずか4ケ月あまりといわれ,田畑の収穫は少なく,開発が遅れ,町民の所得は低かった。こうしたなかで,乳児の死亡率は高くしばしば全国最高という汚名を受けていた。
町ぐるみの"健康管理"がとり上げられたのは,いまから11年前だった。昭和30年に江刈村などの町村合併を機会に,遠藤喜兵衛初代町長は,「たくましい体力づくり」を提唱した。その手はじめとして,部落ごとに町政懇談会を開いて保健の重要性を説いて回り,定期的に医学生を招いて健康相談も開いた。また診療施設をニケ所増設し,一歳未満児の無料診療,産婦人科新設をするなどの手を打った。
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