特集 疲労
私の疲労防止法を読んで
秋山 房雄
1
1東大医学部保健学科
pp.29-32
発行日 1966年7月10日
Published Date 1966/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662203692
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I はじめに
まず楽屋ばなしから始めたい.先日「保健婦さんの疲労回復法」についてというテーマをいただいたとき,ふだんあまり,顔みしりしないたちであるが,すぐに返事はできなかった.それというのは,わたくしの知っている保健婦さんの数は,あまりにも少ない.それもほとんど事業所や保健所の方に限られている.もちろん,ときどき,講習会あたりで知り合いになっても,その人たちが日常どんな生活をしておられるか,何も知らない.事業所や保健所の様子は,およそ見当はつくにしても,そのほかの生活については,万人万様であろう.このことは,親しい保健婦さんについても言えることで,これらの人たちのすべてを知っているわけではない.また,出勤してきてからの仕事も似ているようでもみんなちがう.そのようなことでは,疲労というようなその人の全体から考えなくてはならぬむずかしい問題について皆さんに何かお話するのは,気がとがめるし,また,できもしないというのが第一の理由である.
もう一つの理由は,わたくしは,疲労について特に勉強したことはない.臨床家の一人として,また衛生管理者の一人として,疲労ということをばく然と考えている程度の者である.したがって,何かよい万人向きの回復法をもっているわけではない.だいいち,そんな方法があるのかしら,あったらぜひ知りたいものである,というのがそのときの気持であった.
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