特集 疲労
私の疲労防止法
昼休みのピンポン 夜の音楽で……
芳賀沼 俊子
1
1埼玉県大宮保健所
pp.28
発行日 1966年7月10日
Published Date 1966/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662203691
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昼休みが終り,汗ばんだ顔を冷い水で洗うと何ともいえない快さ,身がギュッとひきしまり生きかえった.今日は1日こまかい集計事務の予定がつまっている.事務的業務の不得手な私は午前中いっぱい椅子にしばりつけられているだけでもうんざりだ.特に数字いじりではなおさらで,肉体労働の方がどんなに良いかわからないと思う.肩は凝り頭はボーッとして冴えなくなる.いわゆる精神的疲労だ.こんな時には昼休みが待ちどおしい.食事をすますとまだ御飯がのどを通過しきれないうちに講堂に走って行く.そこにはピンポン台が1台置いてあり,お互いに誘い合わなくても7〜8人のメンバーが自然に集ってくる.そして自分がプレーをしている時はもちろん,他人のプレーを見ては笑い興じているだけでも身体中の疲れがみんなほぐれて消えてゆく.1時間の昼休みがほど良い運動で身も心もさわやかにしてくれ,また午後の活動への意欲をおこしてくれる.
私たちの業務の多くは訪問である.たとえ使命感に燃え,生きがいを感じているこの仕事も,1日中埃りだらけの田舎道を自転車で走りまわったら夕方にはぐったりしてしまう.他人の家を訪問するという精神的緊張と,肉体的疲労とが重なり,口を聞くのもいやになる.こんな時きれいな音楽が流れて来たら……ポピュラー,シャンソン,タンゴ何でも良い.美しくしかも気楽に聞きながせる音楽,これこそ心身の疲れを根こそぎ持ち去ってくれる.
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