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配転がA子を明るい娘にした
pp.56
発行日 1966年4月10日
Published Date 1966/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662203628
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私が事業所の保健婦として,始めての経験をつんでいたころのことです.そのころは,事務のこまかな仕事をするにも,手助けとなる事務員もいず,私は自分で印刷物にする原稿などをもって,よくタイプ室まで出向きました.A子と知り合ったのはこのようなぐあいにしてでした.
当時20歳になったばかりのA子は,タイピストとしてはかなりの経験を積んでいました.仕事は早く,しかも正確でした.しかし,彼女はなんとなくうかぬ顔をしていることが多く,そのことが私の注意をひきおこしました.A子と私が仕事以外のことで口をきくようになるのには,そんなに時間はいりませんでした.私が保健婦であることを知って,「肩がこってしかたがないの」とか「このごろ,とっても目が痛むのよ」と訴えるようになりました.タイプをやるようになってから視力が急に弱わってきたというのです.視力検査をしてみたところ,0.8〜0.6ぐらいになっていました.それから間もなく,A子は自分で職場を変わりたい,という意向を私にうち明けました.
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