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本誌の読者諸氏のなかで,全国の労災病院を所管してきた独立行政法人労働者健康福祉機構(その前は,労働福祉事業団でした)について名前を聞いたことがある方は極々少数と思われますが,昨年4月よりその労働者健康福祉機構は労働安全研究所などと合併して,新たに独立行政法人労働者健康安全機構(以下,当機構)となりました.そして,先の労働者健康福祉機構は平成26年(2014年)以来,各都道府県に1カ所ずつの産業保健総合支援センター(産業医活動の支援などを行う)と小規模事業場の支援を行う地域窓口(地域産業保健センター,概ね労働基準監督署の管轄地域に一致している)も傘下においていました.これらの歴史からも明らかなように,当機構の使命は,わが国の産業,経済にとって礎となる「勤労者医療の充実,勤労者の安全向上,産業保健の強化」です.これらのことは国総体としてなら総労働力の維持ですし,国民の1人ひとりにとっての価値となれば,まずは健康に働くこと,そして高齢となっても,また病にあっても,1人ひとりのキャリアパスの充実に資することです.ここでは,当機構の仕事ぶりが,表題にいかに与るかについて論考したく思います.
さて,各地域における「地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備等に関する法律」(平成26年(2014年)6月)に伴う検討の中でも,特に地域医療構想において自らの病院が高度急性期,急性期,回復期,慢性期のどれに該当するかなどの議論が盛り上がっているようです.筆者は東京都救急医療対策協議会に組織された「地域包括ケアシステムにおける迅速・適切な救急医療に関する検討委員会」の委員長として,例えば,救急搬送となった高齢者については,生活圏内の“地域密着型病院”に収容し,その瞬間から地域に戻る準備を開始すべきなどと論じています.
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