保健婦の眼
明るい芽生え
pp.37
発行日 1953年4月10日
Published Date 1953/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662200493
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終戦後新しく発足したわが国保健所事業も,創業時代にありがちな困難や不手際を一つ一つ克服しながら,ともかく社会保障の重要な一端をになつて,ある程度の成果をあげて来た.しかし最近とみにスマートな外装された建物の陰に,事業自体の不振と行き詰りを訴える声がだんだん大きくなつて来たことも事実である.それは保健所そのものの不振というよりも,公衆衞生全般の不振が保健所にしわよせされた結果であるともいえる.と同樣にこの保健所の行きなやみが,実はその一ばん下積みの保健婦業務の上へ一概にのしかかつているようにも思えるである.
そうした環境の中から最近1つの明るい芽生えがあらわれて来た.それは今のところ若い保健婦たちの小さな研究グループに過ぎないが,行き詰つた事態を自分たちの手で少しでも切り開き,保健婦事業を希望のあるものにしたいという真面目な念願から出発したものである.この熱意にほだされて,一部の理解ある学者や開業医までが,積極的な応援を申し込んで来てすらいるのである.
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