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はなやかな近代性のかげに健康をむしばまれる新聞労働者
pp.55
発行日 1966年4月10日
Published Date 1966/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662203627
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オリンピックを機に新聞産業の合理化はすさまじく,「新聞労働者は毎月1.5人ずつ死んでいる」ということさえささやかれている.その近代性の仮面のもとに腰痛,腱鞘炎,神経痛,胃病など職業病とみられるものも続出しているという.
東京地方紙のT新聞では最近合理化が急速に進んできているが,昨年12月,文選職場のAさん(36歳)が過労で衰弱し,虫垂炎手術中に死亡つづいて今年1月2日に解版職場のBさん(62歳)が帰宅の途中駅頭で倒れて死亡。さらに同月13日,社会部記者Cさん(52歳)が肝臓ガンで死亡と,2カ月に3人の死亡者をだした.全国紙のA紙では昭和37年8人,38年10人,39年17人,40年19人と毎年死亡者がふえている.過去5年間の死亡者の死因は,交通事故と取材中の事故が1位で14人,消化器系疾患12人,心臓病8人,神経症9人,肝臓病8人で,いずれも合理化に伴う長時間労働,人員不足などによる労働災害的色彩が濃く,労働者の健康状態がむしばまれていることを物語っている.
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