連載 環境?!・20
明るいほど見えにくくなる廊下
筧 淳夫
1
1国立医療・病院管理研究所 施設計画研究部
pp.601
発行日 2000年8月10日
Published Date 2000/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686901988
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廊下の突き当たりに,大きな窓が開いている施設をよく目にする。特に病棟は,廊下の両側に病室などさまざまな部屋が並んでいるため,少しでも廊下に太陽の光を取り入れようとして,突き当たりから採光を確保しようとする例が少なくない。廊下は明るい方が安全だと考えられる傾向にあるが,ときに明るすぎる光が悪戯をすることもある。
たとえば,前回書いたように,南向きに病室を並べると,当然廊下は東西方向に延びることとなり,朝夕の太陽が低い位置にある時刻には,突き当たりの窓から直接光が廊下へ射し込むこととなる。このようなとき,写真のように床材としてPタイルや塩ビ系の長尺シートなど光沢のある材質を利用し,壁や天井も同系色を利用しているような施設の場合には,光が強く反射するとともに,床―壁―天井の境目が見分けにくくなってしまう。廊下の壁と病室の入口も同じような色を用いており,また,扉の位置が壁の位置と同じために,扉の場所を見分けることも難しい。
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