特集 身の回わりの衛生
第II部 健康なくらし
入浴・清潔を中心にした個人衛生
田多井 恭子
1
1京浜女子大
pp.73-76
発行日 1966年2月10日
Published Date 1966/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662203574
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浴の温度
入浴を衛生学的にみると,まず基本問題として,浴水の温度があげられる.冷水浴は,最大の刺激効果をもつから,若い人たちが,朝のねざめにスッキリしようとする目的にはかなっている.しかし,病弱者には不適当である.また,健康者であっても,冷水浴をはじめるさいは,漸進的にする必要がある.
また,冷水浴の一種ともいえるが,よく外人などのするシャワーは,時間や刺激の強さをかなり加減できるので,冷水の中につかるという完全な冷水浴とは趣を異にする.しかし,数秒間冷水シャワーを浴びるだけで,皮膚の血管は収縮する.そして,それにつれて一時的に血圧が30mmHgぐらい上昇する.したがって,老人や高血圧患者,とくに動脈硬化のある人が,冷水シャワーを浴びることは危険である.むろん,中年以前の健康な人にはよい.シャワーを数秒浴びると,すぐにまた皮膚血管は拡張する.そこで,すぐ全身を乾いた大バスタオルで包んで,全身の皮膚をマッサージするように,よくふく.こうすると,たとえ冬でも,全身が暖く感じられて,気持ちがよいばかりでなく,皮膚のよい鍛練になってカゼの予防にもなる.
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