特集 身の回わりの衛生
第II部 健康なくらし
衣服衛生
庄司 光
1
1京都大学
pp.69-72
発行日 1966年2月10日
Published Date 1966/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662203572
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衣生活の変化
昭和34年から38年にかけて被服の消費がいちじるしく増加したが,それに伴なってその内容も変化した.総理府統計局の「家計調査」によって被服の品目別消費の動向をみると,36,37年当時にくらべ38年は衣類に対する消費よりも指輪,イヤリング,ネックレス,えり巻などの装身具用品,旅行カバンおよび傘類などの身のまわり品の消費の伸びがいちじるしい.38年において都市全世帯が衣類に支出した金額は47,572円で,35,36年にくらべて伸び率が減っている.停滞のいちじるしいのは糸,布地類で,とくに絹着尺地,化繊着尺地などの下落が目立つ.シャツ,下着類も伸び率は鈍化しており,男子開襟シャツ,婦人その他の下着類への支出額も下回わった.衣類のなかでは和服,帯類,男子夏背広,レインコートなどへの支出額はそれぞれ2〜5割程度の増加を示し,寝具類は大幅な増加をつづけており,さらにえり巻,ハンドバッグなどは約5割,指輪などの装身具は2倍近い増加を示した.
増加をつづけている紳士服の分野では,一方では,はじめ粗悪品視されていた既製服が,その種類の多様化と縫製技術の進歩によって製品の高級化がはかられ,他方では従来のオーダー服は消費者の趣味にマッチした高級な製品を指向し,両者の競争は激化している.
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