研究・報告
家庭健康管理に関する研究
宮部 克子
1
,
金森 ちえ子
1
1金沢大学医学部公衆衛生学教室
pp.53-56
発行日 1965年2月10日
Published Date 1965/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662203316
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はじめに
戦後わが国でも学校,会社,工場などの集団を対象とした健康管理が盛んになってきた.また最近は地域健康管理ということもしばしば口にされているが,これらはいずれも従来の個人を対象とした治療医学の立場を脱して,集団という基礎の上に立って共通の原因を考え,その対策を立てようとする公衆衛生学的なアプローチのしかたであり,近ごろいわれている広義の医療もこの方向の健康管理を目ざしていることはまちがいない.
ところで集団の健康管理が盛んになることは結構なことであるが,社会構成の基本単位である家庭の健康管理が,今日まで案外考えられていないのは片手落ちなことである.たとえば1軒の家庭を例にとってみても,主人は会社で,主婦は保健所で,子どもは学校でそれぞれ検診を受けているとしても,いずれもばらばらに健康管理を受けているということであって,家族的に共通に存在する問題点,たとえば栄養の欠陥,遺伝,家庭環境の不良,家庭の習慣などは,各人の検診成績を家族単位にまとめて観察してこそはじめて理解されるのである.
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