アメリカの医療 米国家庭医学の発展・5
家庭医はどのような研究を行っているか
木村 隆徳
1
Takanori Kimura
1
1医療法人財団尚温会伊予病院
pp.138-140
発行日 1983年1月10日
Published Date 1983/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402218124
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米国におけるプライマリ・ケア運動は,その専門科としての家庭医学が,とくに医学生層と,医療サービス消費者としての一般大衆(患者層)ならびに医療費支払い側の国や州政府の強い支持を受けていることは明白ですが,それが予期以上に急速に発展した現在,家庭医学専門医にとって最大の不満またはあせりは,同僚である他科専門医の間に十分な信ぴょう性を確立しえていない実情であります.レジデンシーや医学部内の家庭医学科の設立,拡大が満足すべきほど達成された現在,やっと研究(research)という問題に取り組む余裕ができ,注意を払いはじめたといえましょう.
米国家庭医学会の年次例会は従来から,家庭医の診療に必要とされる知識をrefreshしup to dateにするという面に大部分の力が注がれていましたが,1981年にはじめて研究発表部門が加えられました,これは学生・レジデント部門,開業医部門,教職員部門の3部に分かれ,それぞれの最優秀テーマには賞金が出されます.昨年ラス・ベガスで開かれた年次例会を例にとりますと,医学生・レジデント部門では「家庭における運動療法を患者が実行する度合」,開業医部門では「家庭医学の経済性に関する研究」,教職員部門では「レジデント教育におけるカルテの研究:診療記録にあらわれた予防医学の実践」でありました.家庭医の診療記録と診療の実際は,まだまったく手がつけられていない情報の宝庫といえましょう.
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