研究・報告
農村地域における周産期死亡の実態
相沢 竜
1
,
片田 玲子
2
1長崎大学医学部公衆衛生学教室
2長崎県大村保健所
pp.41-45
発行日 1964年5月10日
Published Date 1964/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662203106
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母子衛生の重点は周産期死亡対策に向けられつつある
昭和38年の国民衛生の動向をひもといてみよう.それには乳児死亡率がいちじるしく低下し,乳児死亡のうち,最近では月齢の進んだものの死亡が改善されてきているので,勢い生後間もなくの死亡――新生児死亡,ことに早期(生後1週間未満)新生児死亡――対策がますます重要になってきたことが述べられている.もちろん新生児死亡の改善も進んできている.ところが,他方では妊産婦死亡の改善がはかばかしくないことや,死産率,ことに後期死産比の停滞ないし上昇気味のことが問題視されている.出産をめぐる前後の相隣る時期で,母子衛生にこのような事態がみられることははなはだ奇妙なことではなかろうか.この分野の保健活動が各個ばらばらなのではなかろうかと,一応疑ってみても無理はなかろう.もっと集約され,統合された母子衛生活動が必要なのではなかろうか.出産前後の問題を総合的に考えてゆこう.これが,これから述べようとする周産期死亡の問題である.まず,話の順序として周産期死亡の意味,ついで私たちの教室で行なってきた農村地域における実態調査の成績にふれてみよう.
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