綜説
農村地帯における重症肺結核患者の実態とその発生原因について
土屋 高夫
1
,
川畑 利夫
1
,
広岡 フサエ
1
,
西田 ヒデ
1
,
白石 ツ子
1
,
岩出 ツキノ
1
,
森山 フサ子
1
,
榎田 満喜枝
1
,
今村 米子
1
1鹿児島県宮之城保健所
pp.88-92
発行日 1961年2月15日
Published Date 1961/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401202376
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1.はじめに
最近,重症肺結核に関する研究が各方面で進められているようである。しかし,そのほとんどは,療養所・病院等の入所患者,又は生活保護世帯に関するものであり,それらの正規の軌道にのらない,それ以前の問題である,在宅患者についての研究はあまり見あたらないようである。
私達,公衆衛生の第一線である保健所に勤務する者,特に,東京都民の1/3の年間個人所得しかない,しかも封建的気風の強い鹿児島県の,農村地帯の保健所に勤務する者にとつては,結核予防という面からも,やりきれない気持のすることが多い。この気持を幾分でもやわらげるつもりと,やりきれなさのありどころを探ぐる意味から,私達は,管内の重症肺結核患者の実態を調べてみた。結果において,何分,平常業務の間に実施したので,突つ込みの足りない点のあることも認めるが,管内の,結核検診率もよく,患者の登録管理もよく行われているので,以下に記述する事実は,結核予防の見地から,管内に存在する問題点であり,また農村地帯における問題点を明示したものと考えている。
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