特集 秋田県の公衆衛生活動
農村の生活と地域保健活動
立身 政一
1
1平鹿総合病院
pp.469-473
発行日 1970年8月15日
Published Date 1970/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401204117
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秋田県は北海道,新潟につぐ米産県で,東北地方の中で最も水田単作農村の多い県である.それはあるいは地質的,地形的および気候的条件によってしいられた結果かも知れないけれども,そこに住む農村人の生活を当然のごとく規制しているといってよい.即ち,すべての生活が米に依存することになり,農家でありながら野菜さえも買わねばならない.そして,稲作専門であっても耕作反別が決して大きくないために,その農家生活には常に経済的貧困というものが基盤となってきた.そのためか,昭和の初頭における医療組合運動がどの県にもまして活発にしかも全県的組織をもってなされ,その頃,設立された医療機関がそのまま戦後においては厚生連病院として存続しているのである.したがって,ここでは県南穀倉地帯の横手盆地を対照地域としたわれわれの病院(平鹿総合病院)のことに限って述べるが,このことは各地区によって多少の相違はあるとしても一応全県的に敷衍して考えても差しつかえない.
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