調査報告
市原市農村部K村落の健康生活の実態—農村部地区看護活動の指針を求めて
中島 紀恵子
1
,
大竹 久代
2
,
増田 昌子
2
,
田丸 しずゑ
3
,
山口 佳津美
3
,
上野 章子
4
1千葉大学看護学部
2千葉大学教育学部
3市原市役所
4市原市農業改良普及所南総支所
pp.276-286
発行日 1978年4月10日
Published Date 1978/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662205975
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
市原市農村部の健康生活の水準を把握するため,この地において最も農村的性格を保持する一地区K村落の実態を調査した。その分析を通して看護活動展開に際し基礎となる指針を求めた。
その結果,50歳以上人口の約30%に慢性疾患(主に高血圧)群がみられた,農夫症及び疲労自覚症者は男子の半数以上に,女子では約70%にみられたが,特に男子の40代,女子の30歳以降に高い割合をしめした。しかし訴えの内容は男女異なる様相がみられた。この原因として労働形態の相違が指摘される。
主婦は営農形態によって仕事内容を異にし,8階層に区分された。そこから30〜50歳代の婦人の複合営農従事グループに,より高いエネルギー消費,長い労働時間を少ない家事,食摂取手段の省略等がみられ,この層に疲労及び農夫症をもつ者が多くみられた。また貧血についても同様であった。
兼業化は,臨海部及び他地区の中心部に近い区域の世帯から進行し,現在専業農家は,養鶏,養豚を主とする2世帯にすぎない。
そして兼業化によって生じた生活様式の変化は,中高年女子を営農主担者とし,女子の農事外労働量を増加させた。これらのことと不完全な受療状況とは無関係ではない。また人々との交流関係に及ぼす影響にも注目しなければならない。
看護指針はこれら住民の生活実態に注目し,分析を通じて案出された。
Copyright © 1978, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.