研究と資料
農村住宅と農村計畫
入鹿山 勝郞
1
1厚生省
pp.149-152
発行日 1948年1月25日
Published Date 1948/1/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401200249
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農村住宅と其の改善を考へるに當つて,之と農村計畫の問題を切り離すことは出來ない。茲でいふ農村住宅とは都市住宅に對照した意味で,之には(1)農村にあつて農業を營まない住宅と(2)農業に從事する者の居住してゐるものとがあるが本問題の對照になるのは(2)の場合である。農業經營の特殊性と農村生活の都市生活との相違を考へるとき自らそこに農村住宅と農村計畫の特異性が考へられる都市に於ては,各種の交通,文化,衞生の機關が發逹し,且つ都市生活者の作業場は多くの場合住宅とは別個に考へてよいが,農村は文明の施設に惠まれることが少なく,且農村住宅と農業との關係を離して考へられない。併し乍ら農村の繁榮と農村人の健康と福祉とを増進するためには,共のまゝの農村の在り方では既に駄目であることは誰もが痛感しながら,併しこの改善に就ては未だに計畫的な指導がなされてゐない樣である。殊に今後日本の農業の持つ重要性に鑑み,是非この問題を再檢討する必要がある。
歐洲に於ては既に1935年に國際聯盟保健部では農付住宅と村落及び土地全般に關する綜合的計畫の必要性を認め,このために住宅委員會が設けられ,1937年巴里で,1939年セネバで農村住宅と農村計畫に關する欧洲會議が開催され,其の席上,人口統計學,財政經濟學,社會學等の種々の立場から多くの資料が提供され,論議された。茲にその重な問題を取擧げてみる。
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