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訪問指導の対象をどう選ぶか
田中 恒男
1
1東大
pp.17-21
発行日 1963年12月10日
Published Date 1963/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662202988
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保健婦のつらさ
保健婦の行なう訪問指導が,ともすれば機械的になってしまって,ちっとも効果があがらないという声をよく聞くようになった、皮肉な言いかたをする人は,保健婦とは家庭訪問もするんですかなどという.どうもえらいことになったものである.しかし,これも仕方がないかもしれない,結核にしたところで,調査訪問がせきのやまで,後は管理訪問がほんの少ししかできないような現状の稼働量では,機械的にならざるをえないではないかとも思う.だからといって,それでいいというわけでは決してない.ここを何とかしなければならないのが保健婦のつらい所である.
大都会は別として,地方の保健所保健婦や市町村の保健婦では,稼働量に余裕がつくれるところも少なくないように思う.(といっても私はなにも地方の保健婦がひまだといっているのではない大都会のように1人の保健婦が2万も時には3万もの対象人口をかかえて,登録結核患者だけの処理で手いっぱいな現状に比べて,整理すれば本当の意義ある保健指導にまわせる時間が少しでも生みだせる可能性があるのではないかといっているだけである.そうした余裕をつかって,必要な訪問対象に必要な指導をはたしてゆくことは現在でもきわめてたいせつなのではあるまいか.
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