特集 保健婦活動研究論文集
保健婦の家庭訪問における対象理解の特徴
安田 貴恵子
1
1千葉大学大学院看護学研究科(地域看護学)
pp.212-218
発行日 1997年3月10日
Published Date 1997/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662901536
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●要約
保健婦の援助における対象理解の特徴を明らかにするために,家庭訪問援助の事例報告を素材に,援助成果および援助過程で注目している情報を取り出した。援助成果として判断した内容は,本人,家族,外部支援者それぞれにかかわるものが含まれた。これらは,「意欲の向上」「家族の関係性の深まり」「他者を受け入れる」「望む生き方の実現」「社会性の高まり」「両者間の関係性の深まり」という目標に向かっているものであった。
援助過程で注目していた情報を整理し,援助を充実させるための観察項目を導いた。それらは,①本人の気持ちや考え,②自己管理にかかわること,③生活の質にかかわること,④本人の療養生活を支える家族側の状況,⑤外部支援の活用促進にかかわること,⑥保健婦との人間関係にかかわることに整理できた。この中で,家族側の状況と外部支援の活用促進にかかわることが,保健婦の家庭訪問援助における対象のとらえ方として特徴的なものであった。とりわけ,後者については実践的な課題であるが,方法の根拠となる観察項目としての位置づけはまだ不十分な部分であり,研究的な取り組みが必要だと考えられた。
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