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離れ島の衛生問題
野村 茂
1
1熊本大学
pp.49-54
発行日 1963年8月10日
Published Date 1963/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662202904
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離れ島の現実はどうか
いうまでもなく日本は島国であるが,日本にいったい島がどのくらいあって,どのくらいの国民が,どのように生活しているか,われわれの認識はまことに乏しいといわなくてはならない.
島の数についても調査によってマチマチであって,水路部の昭和21年の調査(第1表)は平均水面高度1m以上のものを数え,佐渡島以下総数は2,394となっている.(のちに日本復帰した薩南,奄美の諸島を加えると3,290島)また,総理府統計局は岸線1km以上のものを数え,3,413島としている.いずれにしても,そのうち住民のいる島は約2割弱の約450島で,それは主として瀬戸内海と九州に分布している.これら大小さまざまな有人島は総面積9,200km2,総人口は218万であって,面積では山形あるいは鹿児島県,人口では千葉,広島県に匹敵する.(第1図)しかし島々は全国に広く分散しているために,その存在は政治的にも忘れられ無視されることが少なくなく,分散した200万の住民の声は9,000万の人口の間では何ほどにも響かないし,地方自治体の中でも,島民の発言力はまことに弱いのである.
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