特集 母と子をまもる保健婦
精神衛生大会から
家庭問題と精神衛生
マーガレット・ミード
1
1前世界精神衛生連盟会
pp.87-89
発行日 1959年5月10日
Published Date 1959/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662201869
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我々が偉大なる遺産を再検討し,カントとダーウィン,マルクスとフルードの言葉に新しい意味を加えつつあるこの歴史上の一時期である本日,私は光栄にも演説する名誉をかち得,この上なく感激している.
カントの主張—理性方法論—は我々が再び進化の重要性に注目している現在,再検討さるべきものである.理性を働かせて全進化過程内に仮定を立てて,経験と形式から観察を生みだしてゆくと言う科学的方法は人間だけがもつている能力であり,誠にほこるべきことであり,その為に他のあらゆる動物と人をはつきり区別出来るだけでなく,それは現在の文化を作り上げた第1の進化的道具である.そして新しい文化形態を進化させ,相接している全人類が新しい状態を築き上げてゆくことによつて,歴史上始めての近代工芸学とも言うべき域にまで到達せねばならない.精神衛生運動は観察し,学習し,計画する人間のこの能力が適用されたものである.私は本日,一国或いは世界のどこかで科学的研究を発見し,それをよその国で適用させる時に直面する問題について少少話してみたい,
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