社会技術講座
教育計画のたてかた
田中 恒男
1
1東大医学部
pp.66-69
発行日 1962年11月10日
Published Date 1962/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662202698
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無目的の目的,という言葉がある.禅問答のようだが,対象と共に動くことによつてある段階で対象が飛躍的に目的としたものをつかむことができるようになるという説明もある.その表現はいろいろでも,いずれの場合も計画なしにすすんでゆくことが,最大の眼目となる.某県のH氏は,衛生教育で話し合いを中心として,特に計画なしに何回も繰返した結果,教育目的(というより組織づくり)を果したという.たしかにこれも教育技術,社会技術として一つの方法だろう.それをさらに極端にメタフィジカルな立場からとりあげたのが,カウンセリング技術なのかもしれない.
しかし,一般にそうした無目的は成果をあげえない.そのような成功をおさめるのは,やはり一部の専門家だけだろうと思う.私は社会技術の中核は,結局のところ計画にあると思う.とくに衛生教育ではその点が,今までよりもつと重視されてよい.そこで,教育計画のたてかたについて,その要点をのべてみよう.教育計画というよりもむしろ学習計画とよんだほうがよいかもしれないのだが,どちらにしても
①何を②どのような形で③どんな手順で④どんな対象に⑤何時⑥どのくらい
与えたらよいか(学習したらよいか)をきめることになる.それでは計画の中心である①〜③についてのみとりあげて考えてゆこう.
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