特集 生活をゆたかに
人生に賭ける
田岡 典夫
pp.18-20
発行日 1961年1月10日
Published Date 1961/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662202245
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◆一言,前口上を
さてさて困つたことになつたものであります.本誌の編集子のH君から"賭けとがめつさ"という題のもとに短文を書けとのこと.私は文筆をもつて世を送つているものでありますから,書けといわれると,よほど気に入らぬ相手でないかぎり書くのは義務だと心得ております.まして,H君は私の親友で,そして,碁敵です.そのお役に立つことなら,なんでも喜んでするのですが,こんどばかりは閉口しました.
困る理由はいろいろあります.第一に弱るのはそれが"賭けとがめつさ"というものであることです.私は勝負ごとは好きすでが"賭け"ということにはあまり熱意がない.かりに賭けをすることがあつても,それは第二義的興味でしかありません.また"がめつさ"という言葉は,意味はわかつていますけれども,私のヴォキヤブラリイには落ちついていない言葉です.
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