随筆
食うもの
和田 伝
pp.46-48
発行日 1960年5月10日
Published Date 1960/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662202092
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産制の講話をきく会をひらいても若い嫁さんはいくらも集まらず,映画もあるときいてゾロゾロ出かけてくるのは姑さんたちばかりというのは,つくりばなしでも何でもないが,それほどの姑さんたちも,ここにだけは出かけてこないとあつて,嫁さんや若い主婦たちがノウノウとたのしめるのは,スポーツの場であるようで,近ごろは田舎の町や農村でも女たちのスポーツがなかなかさかんである.なかでもバレー・ボールがいちばん多いのは,多勢でたのしめて,かくべつ特殊な才能を必要としないからだろう.
嫁の屁,米俵を吹き飛ばすという民話が田舎にはあつて,これは嫁がそれほど大力だというのではなく,こらえにこらえ,しのびにしのんできたウップンが,ついに一発それほどの力となつたということであろうが,神社や寺や分校の庭で嬉々としてバレーに興ずる若い女たちの姿を見かけると,そのようなたくましい力を見た眼にも感じる.
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