ドクトル巷談
イヌが食った夫婦ゲンカ
広瀬 正義
pp.91
発行日 1969年9月1日
Published Date 1969/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661914614
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医師1人君護婦1人という小医院の住み込み看護婦といえば,当然,年がら年中夜勤兼任である。だから,時には思いがけない社会の縮図が拝見できる。これも医師の私が留守中のできごとである。
あるうすら寒い初春の深夜,押しっ放しで鳴り止まぬ呼鈴に起こされて,Aさんは寝巻きの上に何か羽織って,玄関へでていった。するとドアをあけるまでもなく,“早くあけてくれ。急患だ,急患だ”とか“ガラスでウデを切られたんだ。早くしてくれ”とかと,酔っぱらいのわめく声が玄関の中までも,ビンビンとひびいていたそうである。
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