コンタクトレンズ(7)
宇宙旅行と一匹の羊
長谷川 泉
pp.13
発行日 1959年11月10日
Published Date 1959/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662201963
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9月12日の午後に打ちあげられたソ連の宇宙ロケット第2号が14日午前6時2分24秒に月に達した.月世界旅行は,夢物語りや空想的科学小説の世界では,すでになれつこになつていることがらであるが,地球を離れた物体が宇宙を飛んで現実に他の天体に到達したのは1959年9月14日を以て最初とする.宇宙世紀の誕生が叫ばれてから,そのことが実感を以てわれわれに迫つてからまだ間がないのであるが,自然科学の進歩はそのすばらしい技術の成果をまのあたり見せてくれた.
次の課題は逆噴射ロケットを使つて静かに月の表面に着陸することだという.これも物語りやテレビの世界では,きのうのことのように説かれていることである.現実に,実験の結果が伝えられるのを待つばかりであろう.そして,その次の段階は動物の月面着陸,そしてその次は人間の月世界への到達,そしてそこからの帰来……かくして宇宙旅行は現実のプランにのぼり,宇宙世紀の現実の黎明はおとずれる.それは私たちの生きているうちに来るであろうか.この世の中の次元が違つてしまうような劃期的なことがらである.
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