連載 宝物,教えてください・45
「少女と2匹の猫」 の人形
キタ 幸子
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1東京大学大学院医学系研究科 健康科学・看護学専攻 家族看護学分野
pp.821
発行日 2019年10月25日
Published Date 2019/10/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1665201369
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「宝物」と聞いて真っ先に思い浮かんだのは,私の研究室に大切に保管してあるLLADRO(リヤドロ)の「少女と2匹の猫」の人形でした。私の煩雑な机や棚の上に置くと壊れてしまいそうなので,普段は箱に入れて引き出しの中で保管しています。そして時々,仕事や子育てに疲れて心がくじけそうになった時に,この人形をそっと取り出し,自分を励まし,勇気づけています。
この人形は私の恩師である李節子先生にいただいたものです。私と先生との出会いは,学部4年生「母性看護学概論」の授業の時でした。その時,初めて「ドメスティック・バイオレンス(DV)」という言葉を聞き,「女性」であることが暴力の原因となる事実に強い衝撃を受けたことは今でも忘れられません。その授業がきっかけで,「暴力を受けた女性を守りたい・救いたい」と強く感じ,女性の権利・健康を守る職業である助産師を選択し,研究者となった今もその熱意は消えていません。
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