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TOPICS 腎臓内科学
宇宙旅行時の腎臓の役割
-―― “うちゅうじん” の正体
Roles of kidneys in regulation of bone mineralization, blood pressure and lipid metabolism in response to gravity changes during space travel
鈴木 教郎
1
Norio SUZUKI
1
1東北大学未来科学共同研究センター酸素代謝制御プロジェクト
pp.1015-1016
発行日 2022年9月10日
Published Date 2022/9/10
DOI https://doi.org/10.32118/ayu282111015
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2021年,宇宙飛行士でなくても宇宙旅行できる時代が幕開けした.しかし,地球生命体にとって宇宙空間は経験したことのない環境であり,人体への宇宙環境の影響を理解することは急務である.宇宙の微小重力環境は骨量と筋量を低下させることが知られているが,その他の影響や分子機序の理解は進んでいない.筆者らは,国際宇宙ステーション(ISS)に1カ月間滞在したマウスを地上帰還後に解析するプロジェクトに参画し,今回,腎臓の遺伝子発現変化について研究を進めた.腎臓は骨量と血圧の制御において重要な役割を担うが,骨代謝に関与するビタミンD代謝系や血圧調節に関わるレニン-アンジオテンシン系の遺伝子が宇宙旅行によって発現変化することを確認した.また,脂質代謝関連の遺伝子発現が変動することを見出した.このように,宇宙旅行時の腎臓,すなわち “うちゅうじん” は未曽有の微小重力環境下での生体恒常性維持においても重責を担う.
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