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病歴
患者:55歳、女性
主訴:食思不振、黄疸
現病歴:受診前日の朝から食思不振と倦怠感を自覚、受診当日の朝に鏡で目が黄色いことに気づき、尿が茶褐色であったため受診した。
既往歴:自然寛解した急性肝炎(53歳)、Basedow病(12歳;詳細な加療経過は他院のカルテが残っておらず不明。現在は無加療)、左右顎下腺摘出術(35歳と54歳で共に唾石症に対して)。
精査歴:53歳時にも食思不振と黄疸で受診した。T-Bil 5.9 mg/dL、D-Bil 4.7 mg/dL、AST 723 U/L、ALT 1,037 U/L、ALP 263 U/L、γ-GTP 366 U/L、CRP 0.76 mg/dLと、肝胆道系酵素と炎症反応の上昇を認めた。肝生検を含む各種検査を実施したが特記すべき所見は認めなかった〔(HAV-IgM抗体 陰性、HBs抗原 陰性、HCV抗体 陰性、IgA-HEV抗体 陰性、HIV抗原・抗体 陰性、STS 陰性、EB VCA IgM抗体 陰性、CMV IgM抗体 陰性、HSV IgM抗体 陰性、抗核抗体 <40倍、IgG 1,583 mg/dL、IgG4 34.0 mg/dL、抗LKM-1抗体 <5、抗平滑筋40倍、抗ミトコンドリア抗体 陰性、MPO-ANCA <1.0 U/mL、セルロプラスミン46 mg/dL(基準値:21〜37 mg/dL)、腹部造影CTで閉塞性・腫瘤性病変なし、肝生検抗酸菌培養 陰性、病理ではAIH(自己免疫性肝炎)、PBC(原発性胆汁性胆管炎)の典型像なし、IgG4免疫染色で沈着なし〕。その後加療することなく肝胆道系酵素と食思不振は改善し、2カ月後には正常化した。何らかのウイルス感染症によるものとして終診となっていた。
内服歴:メコバラミン0.5 mg 1.5錠/日(顎下腺術後で耳鼻咽喉科から処方)
生活歴:喫煙は10本/日×30年、飲酒はビール350 mL/日。前回の肝炎エピソード後、食事も気にするようになり、海鮮、生肉、ジビエの喫食歴なし
家族歴:特になし
ROS陰性:発熱、腹痛、背部痛、寝汗、黒色便、体重減少
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