映画紹介
貴族の階段
外輪 哲也
pp.53
発行日 1959年11月10日
Published Date 1959/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662201976
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中央公論に連載された武田泰淳の原作を,脚色・新藤兼人,監督・吉村公三郎のコンビが映画化する「二・二六事件」を舞台にした作品.
満州事変以来,急速に抬頭して発言権を増した軍部,その中でも特に血気の多い少壮将校たちは,天皇親政の国家改造を企図する重臣暗殺計画を進めたが,この原因としては,元老重臣や政党政治家が腐敗堕落し,農漁村が疲幣して,農漁村出身者が多い軍隊に反映して反動が起つたことと,ドイツのフアシズムの呼応で「昭和革命」と呼ばれる「二・二六事件」への気運が高まつたことが挙げられる.この映画は,こうした社会情勢を背景に,陸軍大臣猛田大将が,進歩派貴族(貴族議院長=今の参議院長)の西の丸秀彦をかつぎ出そうとしているところから始まる.
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