特集 上手な話し方
病人に対する話し方—慢性疾患の場合
島村 喜久治
1
1国立療養所清瀬病院
pp.24-28
発行日 1957年5月10日
Published Date 1957/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662201399
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
はじめに
慢性疾患で療養している病人の心理は,結核に限らず,心臓病でも腎臓病の場合でも,共通したものがある.落伍感,劣等感,自己中心性と軽信性,知性と感情と愛情の混乱などである.そして,こういう心理状態はいわゆる神経症につながり自律神経,内分泌系を通じて,病状そのものにはねかえつてくる.
これを治療するために最も確実な方法は,言うまでもなく慢性疾患そのものの治療である.ところが,慢性疾患は,これも言うまでもなく,容易には完治しないからこそ慢性疾患と呼ばれているのである.
Copyright © 1957, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.