講座
集団中毒事件発生時の保健婦の活動について
松井 凞夫
1
,
渡辺 寿美子
1
,
龍野 惠美子
1
1東京都小石川保健所
pp.23-27
発行日 1956年6月10日
Published Date 1956/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662201208
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最近学校給食等による集団中毒事件や,伝染病の集団発生等が盛んに起るようになり,その度に所管の保健所がその原因の究明に,あるいは被害の軽減のために活躍しているのを新聞紙上等でも知ることができる.このような場合に活動する保健所職員の職種は医師,保健婦,食品衛生監視員,防疫係員等であることはいうまでもないが,そのうちどの職種の人の働きが最も大切であるかという区別はないのであつて,これらすべての人が良きチームワークをもつて,機敏な活動をすることが最も重要なことである.そのためには,これらの職員のすべてが,突発事故に際しても,最大限に能力を発揮できるように,平常から研究をつんでおくことが大切であるが,ここではそのうち保健婦の場合をとりあげてみたい.
実は私達の保健所でも昨年6月,管内の一小学校に,給食に原因する中毒と思われる集団発生事件があつて,都衛生局の指揮の下に,区教育委員会,学校当局,都立病院等と協力して,その原因の調査,患者の処置等に努めたのであるが,当保健所としても始めての事件であり,保健婦も大部分はこのような経験を持つていなかつたため,あとで反省してみると,その活動状況について,残念であつた点,考えるべき点が少なくなかつたので,この経験を中心として,この種事件に対する保健婦の心がまえ,正しい態度あるいはこれに関連して希望したい点などについて,すこしまとめてみたい.
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