Japanese
English
特集 「結核緊急事態宣言」と対策
結核集団発生時の対応
Declaration of State of Emergency Concerning Tuberculosis Correspond to Outbreak of Tuberculosis
大井 照
1
Teru Ooi
1
1板橋区保健所
1Director of Public Health Center Itabashi Ward
pp.1113-1120
発行日 2002年11月15日
Published Date 2002/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404902561
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はじめに
わが国の結核は,それまで減少し続けていた新登録患者数や罹患率が増加に転じ,再興感染症として結核対策を充実強化する必要性が生じた.1999年(平成11年)7月,厚生大臣により「結核緊急事態宣言」が出され,結核への取り組みの再強化と重点的に都市部のDOTS(Directly Obser—ved Treatment Short Course;直接服薬確認治療)の実施と高齢者などへの予防投与,早期発見を当面の緊急課題として「結核院内(施設内)感染予防の手引き」「保健所における結核対策強化の手引きとその解説」を作成し,結核が集団発生した場合の積極的疫学調査実施チームの編成などを具体化した.
強化策としては,発見された患者を確実に治療する・患者からの感染の拡大を防止する・潜在する患者を早期に発見することとし,具体的に①治療成功率を向上させる,②感染性を有するもの(塗抹陽性者)を重視し治療を成功させる,③接触者を確実に把握し感染の拡大を防ぐ,④結核集団発生対策の主体を強化した保健所の役割とするとした.
2002年(平成14年)3月には厚生科学審議会より「結核対策の包括的見直しに関する提言」が出され,患者の早期発見・BCG再接種の中止,初回接種(乳幼児期)の徹底・治療成功率向上のための措置・医療の受け皿を整備するなどの抜本的見直しの方策が示され,今後戦略的な結核対策は大きく変わろうとしている.
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