特集 地域保健の危機管理
雪印乳業製品による集団食中毒事件
中澤 秀夫
1
,
杉浦 嘉宏
1
1大阪市保健所
pp.167-170
発行日 2001年3月15日
Published Date 2001/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401902465
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近年,食品の製造,加工,保存技術の高度化や消費者ニーズの多様化などにより,輸入食品を含め多種多様な食品が,長期的,広範囲に大量に流通している状況のもと,ひとたび食品事故が発生すると,その影響は広範囲に及ぶことが懸念されている.最近では,堺市での腸管出血性大腸菌O 57(以下,O157)による大規模食中毒(1996年7月),青森県でのいか乾製品を原因食品とするサルモネラ属菌による食中毒(1999年4月)などの事例がある.
今回の雪印乳業株式会社大阪工場(大阪市都島区,以下,大阪工場)で製造された「低脂肪乳」などの乳製品による食中毒(2000年6月)は,リスクマネジメントとして自主衛生管理が確立されているはずの「総合衛生管理製造過程」いわゆるHACCP(hazard analysis and critical control point,危害分析・重要管理点)の承認工場で起き,有症届出者数は近畿一円で14,780名に達し,近年,例をみない大規模食中毒事件となった.今回の事件について,大規模食中毒発生時の危機管理(crisis control)の視点から,保健所および行政機関の対応について検証する.
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