講座
疫痢の疫学
松田 心一
1
1国立公衆衛生院疫学部
pp.6-14
発行日 1955年7月10日
Published Date 1955/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662200978
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まえがき
近年わが国の赤痢患者は増加の一途を辿つていて,その数は疫痢患者も含めて毎年10万人内外を数えておりますが,そのうち疫痢患者の占める数は年々2〜3万人にも昇つております.しかもその数は今後もなお増加の傾向を示していることに注意しなければなりません.
疫痢は諸姉もよく御存じのように,2〜4才頃の可愛いい盛りの幼児が一番罹り易い急性の伝染性大腸炎で,特異な脳症状を伴い,経過が非常に早く,少しでも手遅れになるとすぐに命まで奪われてしまうことが少くなく,その予後がしばしば悲劇的な結果に終る点では,小児麻痺にも匹敵するほどの病気であるだけに幼い子供を持つ親達は,この病気に対する不断の警戒を怠らず,平素その予防上細い点にまで充分な注意を払うことが大切であります.
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