講座
忘れられた栄養学(6)
近藤 とし子
1
1栄養改善普及会
pp.15-19
発行日 1955年7月10日
Published Date 1955/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662200979
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保存食に再考を
農繁期は俗に猫の手もかりたい位い忙がしいので,みそ汁の実を刻む時間さえ惜しまれて,最も労働と栄養の帳尻りを合わさねばならぬ肝じんな時に充分栄養がとれないといつたむじゆんが農村では毎年くり返えされている.その点を改善する目的で最近はびん詰,あるいは,かめに詰めて常備するといつた佃煮式の保存食が非常にさかんになつて来た様だ.なるほど一品でも食品の品かずがふえる程食卓が豊かになつて楽しいものではあるが,もとより保存食は醤油や味噌,食塩等で保存が利く様に煮つめてあるもの等が多いために,これで御飯を食べれば勢い御飯を沢山食べる結果となり,のどがかわいて水でもがぶがぶのむならば,血液の濃度もうすまり,うすい,そして軽い血液が身体中をじゆんかんする事になるから非常に体力が衰えやすくなり,労働のはげしい農繁期の食べ方としては,非効率的な食べ方になるわけで,保存食のみに頼る事は栄養的でなく,保存食によつて一升飯をなくする事はとうてい考えられないと思う.
そこで私は次のような便利な食品をおすすめしたい.
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