講座 二頁の知識
ワゼクトミー
大越 正秋
1,2
1関東遞信病院泌尿器科部
2東大
pp.16-18
発行日 1952年12月10日
Published Date 1952/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662200414
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ワゼトミー(VaseKtomie)というのは精管(Vas deference)の一部を切除する手術であつて,精管の交通を遮断するのがその目的である。この目的を達する手術としてはこの他にもあつて,且つその名称がまぎらわしいから先ずこの点を明かにしておく。その一つは精管を切断してその両端を結紮する精管切断術(Vasotomie)その二としては精管をただ結紮するだけ(この場合大低2ヵ所を結紮する)の精管結紮術(Vasoligature)があり,なおこの他に後に述べるスタインナツハの行つた方法があり,これは睾丸と副睾丸頭部の間の細精管を結紮する方法である。
どういう時にこれらの手術が行われるかというと,即ち本手術の目的にはいろいろの場合があるが,その主なる目的は精虫の通過を妨げて,精液中に精虫をなくして相手の婦人に妊娠を起させないようにすることである。即ちこの手術は主として断種の目的に施行されるのである。その他膀胱や尿道に細菌感染が起つている時にその細菌が精管を逆行して副睾丸に達し,そこに副睾丸炎を起させないようにする目的の下にも実施される。最もこの要請が強いのは前立腺(攝護腺)手術の時であつてこの場合はよく副睾丸炎が起り易いので,この手術と同時に,或はこの手術に先立つて両側の精管の交通を断つて處置がとられる。又長く尿道にネラトンカテーテルを留置しておかなければならない時も本手術の必要のあることがある。
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