特集 手こずつた症例―私の経験した診断治療上の困難症(Ⅱ)
後腹膜腫瘍
大越 正秋
1,2
1関東逓信病院泌尿器科
2東京大学
pp.900-904
発行日 1962年8月20日
Published Date 1962/8/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407202965
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緒言
後腹膜疾患としては,腎と尿管の疾患が主であつて,その他のものはあまり多くないが,最近は副腎疾患が注目を浴びるようになり,従来のクツシング病,アジソン病,副腎性器症候群などのほかに,褐色細胞腫や原発性アルドステロン症などが新たに加わるようになつた.
後腹膜疾患は,視,聴,打,触診がほとんど不可能であり,診断はもつぱら間接的方法によるほかない.それらのうち,逆行性あるいは静脈注射腎盂尿管撮影法と,気体後腹膜法が最も役に立ち,大動脈撮影法や下大静脈撮影法などはその助けとなりうる.その他尿や血液の諸検査,試験切片検査なども必要であることはいう迄もない.
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