講座
女らしさ
古谷 綱武
pp.14-17
発行日 1952年10月10日
Published Date 1952/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662200372
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和子さんから私への手紙
おいそがしい先生とわかつていながら,とつぜんおたよりさしあげること,おゆるしくださいませ。先生,わたくしは,どうすれば,ほんとうに女らしくなれるのでしようか。わたくしのなやみを,きいてくださいませ。
わたくしは,ことし高校3年の女学生です。2年ほど前からわたくしの学校にいらつしやつた国語の先生が,女らしさということを,いつもお話しくださいます。しかし,たとえば源氏物語を習つたときなどに国語の先生がおつしやる女らしさといら内容に,わたくしは,どうしても反撥をかんじてしまうのです。顔がきれいで,どこかよわよわしく,じぶんの意志がないような人間,そんな人間になることが,女らしく美しさを身につけることなのでしようか。わたくしは,テニスをしています。また,クラス委員として働いたりするためには,そんなにしとやかにほしていられないのです。国語の先生は,わたくしたちの自治会についても,女ばかりの自治会のくせに,議長だとか,発言をゆるしますとか,賛成とか,たんだかかたくるしくて,すきになれない,なんておつしやるのです。
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