リレーインタビュー
ナースと結婚
阿部 艶子
,
平田 たちえ
1
,
崎浜 トミ
2
,
細島 桂
3,4
,
古谷 綱武
1国立東京第一病院手術室
2東京医科歯科大学
3東京都交通局病院労働組合
4東京都交通局病院病室
pp.162-167
発行日 1954年4月15日
Published Date 1954/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661909565
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「看護婦さんに限らず,職業をもちながら家庭生活を営んでいく,ということは,在来は,かなりむずかしいことでした。ことに着護婦という職業は婦人の職業としては,他よりも古い歴史をもつているだけに,これまで,いろいろと批判もされ,家庭人としての適不適なども,他のケースよりもしばしば,論議されてきたかと思います。何といつても,戦前までの,日本の社会,いわゆる封建的な家庭のしきたりでは,職業をもつた婦人は,結婚というときにあたつて家庭か,職業か,二者択一を迫られる。といつた悩みに直面せざるを得なかつたでしよう。けれども,それはもう,過ぎ去つた昔のことで,これからの世の中は,職業と結婚生活が両立しない,というような議論は,通用しなくなりつつあります。たしかに家事だけに專念することのできる主婦に比べて,職業と家庭との両方に責任を果していかなければならない職業婦人の立場は,容易なものではないのですが,といつて,決して不可能なことではないと思うのです。看護婦という職業は,時間的に,他の職業よりも,又一段と不利な場合が多いのだと思いますが,それらの不利を補うものは,ひとえに周囲の人々,特に夫の理解と協力でしよう。それさえあれば,どんな困難も克服できると思います。反対に,夫となつた人の理解と協力がなくては,どんな些細なことも,乗り越えることのできない障害になつてしまうでしよう。
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