随筆
新しい時代の女らしさ
美川 きよ
pp.102-105
発行日 1955年4月15日
Published Date 1955/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661909805
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男女同権を今さら云々するのが滑稽な位で男女協力によつて家庭が保たれ社会の進歩発展の歯車が廻転しているのが,自然な人間の状態であり正常な配置であるのに,余りに,余りに長く,女性が封建的な殼の中に置かれ過ぎたために,女は三界に家なしとおびやかされたり,幼にして親に従い,嫁しては夫に従い,老いては子に従うのが三従の美徳とか女性の美点を男性に限定され過ぎた為に,女性自身が自繩自得,意志や感情の表現すら出来ない人形的存在に形ずくられたのは口惜しい。
ところが終戦後男女同権の換声に自意識を女性が持つたのは,女同志としてまことに嬉しいことなのだが,とんでもない形の上の平等しか見ず,気負い過ぎ,自意識過乗の女性が増えて来たのは,女同志として少女心配になつて来た。
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