特集 看護制度10周年を記念して
私たちの歩み—保健婦の歴史
土曜会歴史部会
pp.21-27
発行日 1958年7月10日
Published Date 1958/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662201678
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昭和23年7月,戦後のこんとんとした中で私たちの保健婦事業はともかくも一つの方向を見出し,画期的な保助看法が新しく制定されました.あれからちようど10年,保健婦の歴史の中ではこの保助看法の制定をもつて第3期への移行と見なしていますが(第1期は初期開拓時代,第2期は保健婦規則制定から終戦まで),この間,それぞれのポストで保健婦としての営みをつづけながら,「私たち保健婦は,はたしてこれでいいのか?」といつた迷いを次第に大きく感じはじめてきております.
「これでいいのか?」という言葉の内容は大変複雑で充分に整理されておりませんが,初めは漠然とした人間的要求不満まで含んだものが今では「保健婦事業の本質とは何か?」といつた根本的な命題にまでさかのぼり,しぼられて来ています.聞く人によれば今更「いろは」の「い」でもあるまいと笑われるかも知れませんが,真剣に毎日を現場と取組んでいる者には,やはり自分の仕事のありかたに対して,このままではすまされない矛盾と焦燥を感じ,時には「保健婦つて一体なんだろう?」という疑間さえ湧いてきます.そしてこの苦しみがそれぞれの場所で真に私たちを求めている社会的必要さと結びついて新しい保健婦の活動スタイルを生み出し,国民皆保険の実施とも相まつて,その量的増加を獲得し,保健婦歴史の第4期のれいめいを迎えられたらとひそかに希わずにはいられません.これは私たちの夢に終るでしようか.
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