資料
小学生に対する生活習慣病予防のための健康教育のあり方に関する文献的考察
乙丸 晶世
1
,
叶谷 由佳
2
,
佐藤 千史
1
1東京医科歯科大学大学院保健衛生学研究科健康情報分析学
2神戸市看護大学看護組織学講座
pp.1172-1177
発行日 2003年12月1日
Published Date 2003/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662100221
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はじめに
現在日本での主要な死因は,がん,脳卒中,心臓病である1)。これらの疾患の発症・進展には,食生活や身体運動などの生活習慣が大きく関係していることは,米国での大規模な疫学調査(フラミンガムスタデイ)において明らかになっている2)。また,これらの疾患は,従来成人病と呼ばれていたが,健康的な生活習慣を確立することによって発生を予防することが可能な疾患であることから,生活習慣病という新たな概念として命名された。
一方,近年子どもの健康に関する問題は,多様化,複雑化してきている。平成9(1997)年の保健体育審議会答申のなかで,子どもの健康に関する現代的課題として,薬物や性の問題などが挙げられているが,そのほかには肥満や生活習慣病の兆候が3),「健康日本21」4)においては肥満児を減少させる目標がおのおの挙げられているように,肥満や高脂血症が子どもたちの間で増えている。とくに小児肥満は高率に成人肥満へ移行し5),多くの生活習慣病の危険因子となっている。こうした肥満予防のためには生活習慣の改善が必要であるが,生活習慣は青年期までに形成されるため,小児期からの健康教育の重要性が強調されるようになってきた。過去に思春期保健における健康教育の重要性6~8)が述べられているが,小学生に対する健康教育についてまとめられているものは少ない。
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