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喫煙が脳卒中に及ぼす影響—その文献的考察
中山 栄純
1
,
佐藤 千史
1
1東京医科歯科大学医学部保健衛生学科健康科学教室
pp.65-68
発行日 1997年1月15日
Published Date 1997/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401901633
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現在,わが国では寝たきり老人の増加が問題となっている.推定70万人といわれる寝たきり老人の数は今後も急速に増えていくことが予想される.寝たきりになる原因疾患としては,脳卒中が圧倒的に多く,寝たきり老人の全体の約半数を占めている.脳卒中のリスクについては以前より多原因説がいわれており,それに関する多くの疫学研究が行われてきた.しかし多くの疫学研究は高血圧,高脂血症などの疾病の状態,検査所見からの分析が多く,予防上重要であるライフスタイルからの接近は少ない.
そこで,今回はこのライフスタイル因子の代表的なものとして喫煙習慣を取り上げ,寝たきりの主たる原因疾患である脳卒中との関連に注目した.喫煙習慣と脳卒中の関連については以前より検討されているが,論文,報告書においても一定の見解は得られておらず1),十分に明らかにされているとはいえない.この傾向はとくにわが国において顕著である.わが国ではケース・コントロール研究が多く,対象の規模も少ないため,様々なバイアスがかかるためと考えられる.
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