特別記事
―保健師の援助技法を考える…Part3―個別の支援から地域全体へ
多摩・保健師の活動を考える会
pp.628-634
発行日 2003年7月1日
Published Date 2003/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662100122
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「保健師の仕事は集団を対象とする仕事であり,個別への援助はモグラたたきに過ぎない」という人がいる。個々を追いかけても数に限界があるため,システムをつくらなければ普遍性のある支援とならない,という意見である。保健師数を念頭に現実的な業務内容を考えれば,「個への関わり」は中途半端なものと受け取られ,「保健師が自分の役割を度外視して,恣意的に実施されているのではないか」と疑われる場合すらある。
確かに,支援が恣意的になっていないかどうかを点検する必要はあるだろうし,人海戦術のような個別支援は不可能である。しかし,だからといって,「個への関わり」に意味がないとするのは間違いである。保健師が個を大事にするのは,「そこに全体の課題が凝縮されている」と考えるからであり,「個の問題」の解決だけで満足しているわけではない。さらに言えば,保健師は全体の課題と関連づけてこそ個々の課題に対応することに意味を見出す。個々のケースに関わりはじめた時点から,地域のニーズを発掘して新たな事業を設置することを目論んでいる。
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